Rust vs Go どっちを学ぶべき?用途別に徹底比較
1. はじめに
プログラミング言語の選択は、開発の効率やプロジェクトの成功に直結します。特に、Rust と Go は近年注目を集めるモダンな言語であり、それぞれの強みがあります。
本記事では、Rust と Go の特徴を比較し、どちらを学ぶべきか を用途別に解説します。
2. Rust と Go の基本概要
特徴 | Rust | Go |
---|---|---|
開発元 | Mozilla(現在はRust財団) | |
誕生年 | 2010年 | 2009年 |
主な用途 | システムプログラミング、高速・安全な開発 | Webサービス、マイクロサービス、並行処理 |
言語パラダイム | 静的型付け、メモリ安全、低レイヤー向け | 静的型付け、ガベージコレクション付き、シンプルな構文 |
パフォーマンス | C/C++ に匹敵 | C++ より遅いが十分に高速 |
メモリ管理 | 所有権システム(手動管理不要、GCなし) | ガベージコレクション(GCあり) |
学習コスト | 高い(所有権、借用の理解が必須) | 低い(シンプルな構文) |
エコシステム | Cargo(パッケージ管理)、Crates.io | go modules、標準ライブラリが充実 |
3. Rust vs Go - 詳細比較
① パフォーマンス
Rust は C/C++ に匹敵する速度 を誇り、ゼロコスト抽象化 や 最適化コンパイラ により高速なコードを生成できます。
Go は ガベージコレクション(GC) があるため、Rust より若干遅いですが、ほとんどの用途では十分な速度です。
項目 | Rust | Go |
---|---|---|
CPU性能 | 高速(C++並み) | そこそこ(GCがある) |
メモリ管理 | 手動制御(所有権システム) | GC(自動) |
最適化 | LLVM による最適化 | 最適化は少ない |
リアルタイム性 | 優秀(GCなし) | GCが影響する可能性あり |
Rust の勝利(低レイヤーの開発に向いている)
② 学習コスト
Go の構文は シンプルで直感的 であり、Python や JavaScript しか知らない人でも数日で基本を習得できます。
Rust は 所有権・借用の概念 があるため、C++ や Haskell に慣れていないと学習コストが高いです。
項目 | Rust | Go |
---|---|---|
習得のしやすさ | 難しい(所有権、借用) | 簡単(直感的な構文) |
エラーメッセージ | 詳細でわかりやすい | シンプルなエラー表示 |
標準ライブラリ | 充実(高レベル機能もあり) | 充実(ネットワーク、並行処理) |
Go の勝利(学習しやすく、導入が容易)
③ 並行処理(Concurrency)
Go は goroutine を使って 超軽量スレッド を簡単に扱えます。
Rust では スレッドセーフなコードを書くための工夫が必要 ですが、メモリ管理がしっかりしているため安定した動作 をします。
項目 | Rust | Go |
---|---|---|
並行処理の難易度 | 高い(スレッド安全だが記述が複雑) | 簡単(goroutine により直感的) |
パフォーマンス | 高速(スレッド制御が明確) | GCの影響を受ける |
デッドロック・競合 | 発生しにくい(コンパイラがチェック) | 設計次第で発生の可能性あり |
Go の勝利(goroutine によりシンプルに並行処理を実装可能)
④ Web開発・APIサーバー
Go は 標準ライブラリ に HTTP サーバーや JSON パーサーがあり、API 開発が非常に楽です。
Rust でも Actix や Axum などのフレームワークを使えば同様のことが可能ですが、Go に比べるとエコシステムが小さく、学習コストも高いです。
項目 | Rust | Go |
---|---|---|
Webフレームワーク | Actix, Axum, Rocket | Gin, Echo, Fiber |
開発スピード | 遅め(コンパイルが厳格) | 速い(シンプルな構文) |
APIサーバーの性能 | 高速だがコード量が多い | 高速でコードがシンプル |
Go の勝利(APIサーバーやマイクロサービスの開発が容易)
⑤ システムプログラミング
Rust は OS、ブラウザ、組み込みシステムなどの 低レイヤープログラム に最適です。
Go もある程度のシステム開発は可能ですが、ガベージコレクションがあるため、リアルタイム性が求められる分野には不向き です。
項目 | Rust | Go |
---|---|---|
カーネル開発 | 適している(メモリ管理可能) | 不向き(GCあり) |
組み込み開発 | 可能(no_std環境も対応) | 難しい(GCが邪魔) |
高パフォーマンス要求 | 適している(C++並み) | そこそこ |
Rust の勝利(低レイヤーの開発に最適)
4. どっちを学ぶべき?用途別おすすめ
用途 | Rust | Go |
---|---|---|
低レイヤー開発(OS, 組み込み, ゲームエンジン) | ✅ | ❌ |
高性能な Web サービス | ✅ | ✅ |
API サーバー, マイクロサービス | ❌ | ✅ |
並行処理(マルチスレッド処理) | ✅(安全だが難しい) | ✅(goroutineで簡単) |
シンプルな CLI ツール開発 | ❌(コンパイル遅い) | ✅(軽量) |
金融・ブロックチェーン | ✅(メモリ安全) | ✅ |
機械学習・データ処理 | ❌(ライブラリ少ない) | ✅(ライブラリ豊富) |
どちらを学ぶべきか?
✅ 低レイヤーの開発(システム・ゲーム・組み込み) → Rust
✅ Webサービス・API・マイクロサービス → Go
✅ パフォーマンスと安全性を両立したい → Rust
✅ 開発スピードを重視したい → Go
5. まとめ
Rust と Go は 用途が異なる言語 なので、自分の開発したいものに応じて選ぶのがベストです。
- Rust は低レイヤープログラミング向きで 高性能・安全性 を重視するなら最適
- Go は Web サービスや API の開発で シンプルかつ生産性 を重視するなら最適
まずは Go を学んで手軽に開発を始め、後に Rust を学ぶ のも良い戦略です!
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