Power BIの基礎
1. Power BIとは?
Power BIは、Microsoftが提供するデータ分析・可視化ツールです。Excelの拡張版のような感覚で扱え、さまざまなデータソースと連携してインタラクティブなレポートを作成できます。
Power BIの主な特徴
- データの統合:Excel、SQL Server、CSV、クラウドサービス(Azure, Google Analyticsなど)と連携可能
- 高度な可視化:多様なグラフやダッシュボードを作成可能
- クラウドとの連携:Power BI Serviceを利用してWeb上で共有・更新
Power BI DesktopとPower BI Serviceの違い
機能 | Power BI Desktop | Power BI Service |
---|---|---|
主な用途 | レポートの作成・編集 | Web上でのレポート閲覧・共有 |
データ接続 | 多種多様なデータソースに接続可能 | 事前に作成されたデータセットにアクセス |
DAXの利用 | 可能 | 可能 |
更新スケジュール | 手動更新 | 自動更新設定可能 |
2. データの取り込みと前処理
データの取り込み
Power BIでは、以下のようなデータソースからデータを取得できます。
- Excel(.xlsx, .csv)
- SQL Server
- Web API(REST API)
- クラウドサービス(Google Analytics, Azure)
手順:
- [ホーム]タブ → [データの取得] → データソースを選択
- 接続情報を入力(例:SQL Serverならサーバー名とデータベース名を指定)
- データのプレビューを確認し、ロードまたは変換を選択
Power Queryによるデータの整形
Power BIには「Power Query」というデータ前処理ツールが組み込まれています。
- 不要な列の削除
- データ型の変換(文字列、数値、日付)
- NULL値の処理
- 列の分割や結合
3. 基本的な可視化
データを取り込んだら、次に視覚化(ビジュアライゼーション)を行います。
グラフの種類
- 棒グラフ:カテゴリ別の比較
- 折れ線グラフ:時系列データの推移
- 円グラフ:割合の比較
- テーブル・カード:数値や詳細データの表示
手順:
- [視覚化]パネルからグラフを選択
- フィールド(データ項目)をドラッグ&ドロップ
- フィルターやスライサーを活用して動的な分析を実施
4. DAX関数の基礎
DAX(Data Analysis Expressions)は、Power BIでデータ分析を行うための関数群です。
よく使うDAX関数
関数 | 説明 |
---|---|
SUM(列名) | 指定列の合計を計算 |
AVERAGE(列名) | 指定列の平均を計算 |
COUNT(列名) | レコード数をカウント |
IF(条件, 真の場合, 偽の場合) | 条件分岐 |
CALCULATE(数式, フィルター) | フィルターを適用した集計 |
計算列とメジャーの違い
- 計算列:データの各行に適用される(データの前処理向き)
- メジャー:ビジュアルごとに集計される(集計・計算向き)
5. レポートの公開と共有
作成したレポートをPower BI Serviceに公開することで、チームと共有できます。
公開手順
- Power BI Desktopの[発行]ボタンをクリック
- Power BI Serviceでレポートを確認
- 共有設定を行い、アクセス権限を設定
更新スケジュールの設定
Power BI Serviceでは、自動更新のスケジュールを設定できます。
まとめ
Power BIを活用すれば、データの取り込みから可視化・分析・共有までを簡単に行えます。本記事では基本的な機能を紹介しましたが、DAX関数の活用や高度なデータモデリングを学ぶことで、より強力な分析が可能になります。
次回は、実践的なシナリオ(例:KPIダッシュボードの作成)を紹介する予定です!