産業制御システムにおけるソフトウェア定義コントローラ（SDC）とは？

1. はじめに

近年、産業制御システム（ICS）において、柔軟性と効率性を高めるための新しいアプローチが求められています。その中で注目されているのが、ソフトウェア定義コントローラ（Software Defined Controller, SDC）という概念です。本記事では、SDCの概要、特徴、導入事例について解説します。

2. SDCとは？

SDCとは、動作中の「制御」に影響を与えずに、上位システムに応じて機能を柔軟に変更できるコントローラと定義されています。 9従来のハードウェア中心の制御システムとは異なり、SDCはソフトウェアによって制御機能を定義・管理するため、リアルタイムでの機能変更や更新が可能です。

3. SDCの特徴

3.1 柔軟な機能変更

SDCは、制御システムの稼働中でも、上位システムの要求に応じて機能を柔軟に変更できます。これにより、生産ラインの変更や新しい製品の導入時にも、システム全体を停止することなく対応が可能です。

3.2 情報処理機能の強化

SDCは、制御機能と情報処理機能を統合しており、データの収集・分析・可視化をリアルタイムで行えます。これにより、製造現場のIoT化やエッジコンピューティングの実現が容易になります。 22

3.3 オープンなアーキテクチャ

SDCは、汎用プロセッサとオペレーティングシステム（OS）を活用したオープンなハードウェア構成を採用しています。これにより、専用ハードウェアに依存せず、コスト効率の高いシステム構築が可能です。 28

4. 導入事例：日立のHXハイブリッド

日立製作所は、SDCコンセプトを実現する産業用コントローラ「HXハイブリッド」を開発しました。このコントローラは、制御ロジックと情報プログラムの両方を実行でき、制御と情報のデータ共有や情報プログラムのオンライン変更が可能です。さらに、各種IoTプラットフォームへの接続やデータ加工にも適しており、製造現場と情報システムのシームレスな連携を実現します。 36