Hadoopとは?ビッグデータ処理を支える分散処理フレームワークの基礎と応用
1. はじめに
Hadoop(ハドゥープ)は、ビッグデータを効率的に処理するためのオープンソースの分散処理フレームワーク です。
Googleの論文を基に開発され、HDFS(Hadoop Distributed File System) と MapReduce を中心としたアーキテクチャを採用しています。
本記事では、Hadoopの概要、基本機能、活用方法について詳しく解説します。
2. Hadoopの基本構成
Hadoopは、大規模データを分散処理するための4つの主要コンポーネント で構成されています。
2.1. HDFS(Hadoop Distributed File System)
- 分散ストレージ を提供し、大容量データを複数のノードに分割して保存 する。
- データをレプリケーション(複製) し、耐障害性を確保。
2.2. YARN(Yet Another Resource Negotiator)
2.3. MapReduce
- データ処理を並列実行するプログラミングモデル 。
Map
フェーズでデータを分割、Reduce
フェーズで集約処理を行う。
2.4. Hadoop Common
3. Hadoopの動作の流れ
Hadoopを用いたデータ処理の流れは、以下のようになります。
データの分割
- HDFSにデータを格納すると、自動的にブロック単位(例:128MB)で分割される。
データのレプリケーション
- 同じデータを複数のノードに複製し、耐障害性を向上。
MapReduceによる並列処理
Map
:データを分割して個別の処理を実行。Reduce
:Mapフェーズの結果を集約して処理。
結果の統合
- Reduce処理が完了すると、最終的なデータがHDFSに保存される。
4. Hadoopの活用事例
4.1. ログデータ解析
4.2. 機械学習
4.3. IoTデータの処理
4.4. 医療・ゲノム解析
- 医療データや遺伝子データをHDFSに格納し、大規模データ解析を実行。
- 例:疾患の予測、パーソナライズ医療。
5. Hadoopのセットアップと基本操作
5.1. Hadoopのインストール
Hadoopをローカルまたはクラスタで実行するには、以下の手順でセットアップを行います。
Hadoopをダウンロード
wget https://downloads.apache.org/hadoop/common/hadoop-3.3.4/hadoop-3.3.4.tar.gz tar -xvzf hadoop-3.3.4.tar.gz
環境変数を設定
~/.bashrc
に以下を追加。export HADOOP_HOME=~/hadoop-3.3.4 export PATH=$PATH:$HADOOP_HOME/bin
HDFSのフォーマット
hdfs namenode -format
5.2. HDFSの基本コマンド
HDFSにファイルを保存・管理するための基本的なコマンドを紹介します。
コマンド | 説明 |
---|---|
hdfs dfs -ls / |
HDFSのファイル一覧を表示 |
hdfs dfs -mkdir /data |
/data ディレクトリを作成 |
hdfs dfs -put localfile.txt /data/ |
ローカルのファイルをHDFSへアップロード |
hdfs dfs -get /data/output.txt local_output.txt |
HDFSのファイルをローカルにダウンロード |
hdfs dfs -rm /data/file.txt |
HDFSのファイルを削除 |
5.3. MapReduceの基本
Hadoopでは、PythonやJavaでMapReduceジョブを作成できます。
from mrjob.job import MRJob class WordCount(MRJob): def mapper(self, _, line): for word in line.split(): yield word, 1 def reducer(self, word, counts): yield word, sum(counts) if __name__ == '__main__': WordCount.run()
実行方法
python wordcount.py input.txt > output.txt
このスクリプトは、入力テキストの単語数をカウントするMapReduceプログラム です。
6. Hadoopの進化と代替技術
Hadoopは強力なビッグデータ処理フレームワークですが、近年では新しい技術が登場 しています。
6.1. Hadoopの課題
6.2. 代替技術
技術 | 特徴 |
---|---|
Apache Spark | Hadoopより高速なインメモリ処理を実現 |
Google BigQuery | クラウド上でスケーラブルなデータ分析 が可能 |
Amazon EMR | HadoopクラスタをAWS上で簡単に構築・運用 |
現在は、HadoopとSparkを組み合わせて活用するケースが増加 しています。
7. まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
Hadoopとは? | ビッグデータを分散処理するフレームワーク |
主要コンポーネント | HDFS, YARN, MapReduce, Hadoop Common |
活用事例 | ログ解析、機械学習、IoTデータ処理、医療解析 |
基本操作 | HDFSコマンド、MapReduceジョブの作成 |
代替技術 | Apache Spark、Google BigQuery、Amazon EMR |
Hadoopは、大規模データの処理において依然として強力なフレームワークですが、リアルタイム分析にはSparkなどの技術と組み合わせて利用するのが主流 になっています。
Hadoopの基本を押さえ、適切なビッグデータ処理技術を選択しましょう!