TechCraft – エンジニアのためのスキルアップメモ

エンジニアのスキルアップを少しでも加速する技術ブログ

Kotlin と Java

KotlinとJavaの関係 – 互換性と違いを徹底解説

プログラミング言語 Kotlin(コトリン) は、近年Javaに代わる選択肢として注目されています。特にAndroid開発では、GoogleがKotlinを「推奨言語」として発表したことで、その人気が急上昇しました。

では、KotlinとJavaはどのような関係にあるのでしょうか?
この記事では、KotlinとJavaの関係、互換性、違い、どちらを選ぶべきか を詳しく解説します。


1. KotlinとJavaの基本関係

Kotlinは、JetBrains(IntelliJ IDEAを開発した企業)が開発したプログラミング言語で、2011年に発表され、2016年に正式リリースされました。

KotlinとJavaの主な関係は以下の3点です。

1.1 JVMJava Virtual Machine)上で動作する

KotlinはJavaと同じJVMJava Virtual Machine上で動作する言語です。そのため、Javaで書かれたコードと相互運用が可能で、JavaのライブラリをそのままKotlinから使用できます

1.2 互換性が高い

KotlinのコードはJava100%互換性があります。つまり、既存のJavaプロジェクトにKotlinのコードを追加することができ、JavaとKotlinを混在させたプロジェクトも実現可能です。

1.3 Android公式の推奨言語

2017年、GoogleはKotlinをAndroidアプリ開発の公式サポート言語とし、2020年にはAndroid開発の推奨言語に指定しました。これにより、Androidアプリ開発ではKotlinが標準となりつつあります。


2. KotlinとJavaの違い

項目 Kotlin Java
コードの簡潔さ 簡潔に記述できる 冗長なコードが多い
Null安全性 NullPointerExceptionを防ぐ仕組みがある NullPointerExceptionが発生しやすい
拡張関数 既存のクラスにメソッドを追加可能 なし(ユーティリティクラスを作成する必要あり)
デフォルトのスコープ public package-private
データクラス data classで簡単に定義可能 フィールド、コンストラクタ、getter/setterを手動で実装
ラムダ式 サポートあり Java 8以降でサポート
Android開発の適用 Google推奨 依然として利用可能

3. Kotlinのメリット

3.1 コードの簡潔さ

KotlinはJavaに比べて冗長なコードを省略できるため、開発効率が向上します。

例:Javaのコード

public class User {
    private String name;
    
    public User(String name) {
        this.name = name;
    }
    
    public String getName() {
        return name;
    }
}

Kotlinで書くと

data class User(val name: String)

たった1行で同じ機能を実現できます。


3.2 Null安全(Null Safety)

Javaでは NullPointerException (NPE) によるエラーが頻繁に発生しますが、Kotlinではnullを明示的に扱う仕組みがあり、NPEの発生を防ぐことができます。

Java

String name = null; // NPEの原因になる可能性あり

Kotlin

var name: String? = null // 「?」を付けることで、null許容型と明示

Kotlinでは、nullを含む変数には安全にアクセスする方法(?.!! 演算子が用意されています。


3.3 拡張関数

Kotlinでは、既存のクラスに対して新しいメソッドを追加できます(拡張関数)。

例:Stringクラスに新しい関数を追加

fun String.addHello(): String {
    return "Hello, $this!"
}

val message = "World".addHello() // "Hello, World!" になる

Javaではこのような拡張ができないため、ユーティリティクラスを作成する必要があります。


3.4 Android開発との親和性

Kotlinは、Android開発において以下のメリットがあります。 - 公式推奨言語 なので、新しいAPIやツールがKotlin向けに最適化されている - Jetpack Compose(最新のUIフレームワーク)はKotlinが前提 - Coroutines(コルーチン) によるシンプルな非同期処理 - KTXライブラリ により、Android SDKを簡潔に扱える


4. Javaを選ぶべきケース

とはいえ、Javaにも依然として強みがあります。

Javaを選ぶべきシーン

  • 既存のJavaプロジェクトを維持・改修する場合
  • Kotlinがサポートされていないライブラリを使用する場合
  • バックエンド開発(Spring Frameworkなど)
  • 企業の方針としてJavaが求められる場合

特に、エンタープライズ向けシステムやサーバーサイド開発では、Javaの堅牢性と実績があるため、依然として選択肢となることが多いです。


5. 結論 – KotlinとJava、どちらを選ぶべきか?

Kotlinは、Javaと完全互換性があるため、Javaの弱点を補強したモダンな言語」として進化しています。新しいプロジェクトではKotlinを選ぶメリットが大きく、今後も主流の選択肢となるでしょう。


6. 参考リンク