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ラダー vs ST 2025年最新の制御プログラミングの選択と最適化

ラダー vs ST(構造化テキスト):最新の制御プログラミングの選択と最適化

1. はじめに

PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を用いた制御システムでは、
ラダー(Ladder Diagram:LD)と構造化テキスト(Structured Text:ST) が一般的なプログラミング言語として使用されます。

近年、産業用制御システムの高度化やIoT・AIの導入 により、
ST(構造化テキスト)がより広く採用されるようになりました。

本記事では、ラダーとSTの比較、メリット・デメリット、適用シーン、最新の制御トレンド について詳しく解説します。

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2. ラダー(LD)とSTの基本概要

2.1. ラダー(Ladder Diagram)とは?

ラダー図(LD) は、電気回路のリレー制御を模したPLCのプログラミング手法 です。
シンプルな論理制御を直感的に記述できるため、古くから制御システムで広く採用 されています。

メリット - 視覚的に分かりやすく、現場技術者が直感的に理解しやすい - リレー回路の知識を活かせるため、電気制御技術者に馴染みがある - トラブルシューティングが容易(オンラインモニタリング機能が充実)

デメリット - 複雑な演算処理やループ処理が苦手 - 大規模プログラムでは可読性が低下し、メンテナンスが困難 - オブジェクト指向や再利用性に乏しい


2.2. ST(構造化テキスト)とは?

ST(Structured Text) は、C言語PythonのようなテキストベースのPLCプログラミング言語 で、
IEC 61131-3 規格に準拠 しています。

メリット - 複雑なアルゴリズムや数値演算が得意 - 関数・構造体・オブジェクト指向プログラミングが可能 - 可読性が高く、再利用性の高いモジュール設計が可能

デメリット - ラダーに比べて、電気制御技術者には馴染みが薄い - オンラインデバッグ時の視認性が低い - 単純なリレー回路の置き換えには適さない


3. ラダー vs ST:適用シーンの比較

比較項目 ラダー(LD) ST(構造化テキスト)
適用領域 シンプルな論理制御、機械制御 複雑な演算、データ処理、AI制御
可読性 視覚的で直感的 コードベースで整理しやすい
学習コスト 低い(電気制御経験者向け) やや高い(プログラミング経験者向け)
処理速度 遅い(スキャンタイム増大) 速い(最適化されたコード実行)
デバッグのしやすさ グラフィカルで分かりやすい ロギング・シミュレーションが必要
IoT・AI連携 不向き(データ処理が苦手) 適している(AI・クラウド連携)

4. 最新の制御技術とラダー/STの進化

近年の制御技術では、IoT・AI・エッジコンピューティングの進化 により、
従来のラダーでは対応困難な高度なデータ処理が求められる ケースが増えています。

4.1. 最新技術との連携

技術要素 ラダーの適用 STの適用
IoT連携(MQTT, OPC UA 難しい STでスムーズに実装可能
AI/機械学習(予知保全 非対応 Python連携で実装可能
ビッグデータ解析 不向き データロギング・分析に適用可能
クラウド連携(AWS, Azure) 限定的 REST API連携が容易
多軸モーション制御 基本的な制御は可能 高度な軌跡生成・制御に適用可能

STは、クラウド・AI・IoTなどの最新技術と親和性が高い!
ラダーは、シンプルな論理制御向けで、従来の制御ロジックに適している!


5. ラダーとSTのハイブリッド活用

最新のPLCプログラムでは、ラダーとSTを組み合わせたハイブリッド構成 が一般的です。

5.1. ハイブリッド活用のパターン

  1. 基本的なON/OFF制御やシーケンス制御はラダーで記述
  2. 複雑な計算・データ処理はSTで記述
  3. ラダーからSTの関数ブロック(FB)を呼び出し、モジュール化する

5.2. 具体的なコード例

ラダー(LD)で基本的なリレー制御

(StartButton) ---[ ]---+---( Output )
                        |
    (StopButton) ----[ / ]---+

シンプルなON/OFF制御はラダーで直感的に実装!


STでデータ処理や演算を実装

PROGRAM PID_Control
VAR
    SetPoint : REAL := 50.0;
    ProcessValue : REAL;
    Output : REAL;
    Kp : REAL := 1.5;
    Ki : REAL := 0.5;
    Kd : REAL := 0.1;
END_VAR

(* PID制御ロジック *)
Output := Kp * (SetPoint - ProcessValue) + Ki * INTEGRAL(SetPoint - ProcessValue) + Kd * DERIVATIVE(SetPoint - ProcessValue);

高度な演算処理や制御アルゴリズムはSTで実装!
ラダーからSTの関数ブロックを呼び出すことで、ハイブリッドな制御が可能!


6. まとめ

項目 ラダー(LD) ST(構造化テキスト)
視認性 グラフィカルで分かりやすい コードベースで整理しやすい
学習難易度 低い(制御技術者向け) やや高い(プログラマー向け)
デバッグ 直感的なデバッグが可能 ログ・シミュレーションが必要
IoT・AI対応 非対応 Pythonクラウド連携が可能
最適な用途 シンプルな制御ロジック 複雑なデータ処理・最適化

結論

  • ラダーは、リレー回路を置き換えるシンプルな制御に最適。
  • STは、AI・IoT・クラウド連携を含む高度な制御に適している。
  • 最新の制御では、ラダーとSTのハイブリッド活用が主流!

今後のPLCプログラミングでは、ラダーとSTの適材適所の活用がカギ となります。
最新技術を取り入れながら、最適なプログラミング手法を選択していきましょう!

参考資料