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Ethernet(イーサネット)とは? 最新規格まで解説!

Ethernetとは?仕組みから最新規格まで徹底解説!

1. はじめに

Ethernetイーサネット)は、コンピュータネットワークで広く使用されている通信規格です。
企業のLAN(ローカルエリアネットワーク)から家庭用ネットワーク、データセンターまで、有線ネットワークの基本技術 として不可欠な存在となっています。

本記事では、Ethernetの基本概念、仕組み、最新の規格や技術動向について詳しく解説 します。


2. Ethernetの基本概念

2.1. Ethernetとは?

Ethernetは、IEEE 802.3 によって標準化された有線ネットワーク技術で、
パケット交換方式 を利用してデータを送受信する通信プロトコルの一つです。

特徴
- 有線ネットワークの標準規格(ほとんどのLANで使用)
- パケットベースのデータ通信(データを小さな単位に分割して転送)
- 高速・安定した通信Wi-Fiと比較して低遅延・高信頼性)


3. Ethernetの仕組み

Ethernetの通信は、以下の方式でデータを送受信します。

3.1. フレーム構造

Ethernetは、データをフレーム(パケット) に分割し、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスを付与して送信します。

Ethernetフレームの構成

項目 説明 サイズ
前置ビット(Preamble) 通信の開始を示す 7バイト
SFD(Start Frame Delimiter) フレームの開始を示す 1バイト
宛先MACアドレス 受信するデバイスMACアドレス 6バイト
送信元MACアドレス 送信元のMACアドレス 6バイト
タイプ/長さ 上位プロトコルの種類またはデータ長 2バイト
データペイロード 転送するデータ(IPパケットなど) 46〜1500バイト
FCS(Frame Check Sequence) エラーチェック用のCRC 4バイト

ポイント
- MACアドレス を利用してデバイス間で通信
- データの誤り検出(FCS により通信の信頼性を確保


4. Ethernetの通信方式

4.1. CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)

従来のEthernetは、複数の端末が同じネットワークを共有するための衝突回避技術(CSMA/CD を採用していました。

仕組み

  1. 送信前に通信路を監視(Carrier Sense)
  2. 他の端末が通信していなければ送信(Multiple Access
  3. 衝突(Collision)が検出された場合、送信を一時停止しランダム時間後に再送(Collision Detection)

しかし、現在のEthernetスイッチングハブを利用した「全二重通信」 が主流で、CSMA/CDの必要性はほぼなくなっています。


5. Ethernetの規格と通信速度

Ethernetには、通信速度やケーブル種類に応じた複数の規格 があります。

規格 最大速度 主な用途
10BASE-T 10Mbps 初期のEthernet規格(現在はほぼ未使用)
100BASE-TX 100Mbps 過去のオフィスLAN向け(現在はほぼ未使用)
1000BASE-T(Gigabit Ethernet 1Gbps 一般的なオフィス・家庭用LAN
2.5GBASE-T / 5GBASE-T 2.5Gbps / 5Gbps 高速LAN用途(Wi-Fi 6バックボーンなど)
10GBASE-T 10Gbps データセンター・高速LAN
40GBASE-T / 100GBASE-T 40Gbps / 100Gbps 大規模データセンター

最新のトレンド
- Wi-Fi 6/6Eに対応したバックボーンとして「2.5G/5G Ethernet」が普及
- データセンター向けに「100G Ethernet」や「400G Ethernet」が発展


6. Ethernetの最新技術

6.1. PoE(Power over Ethernet

PoE(Power over Ethernet)は、Ethernetケーブルを通じて電力を供給する技術 です。

用途

  • IPカメラ・Wi-Fiアクセスポイントへの電力供給
  • IoTデバイスの省配線化
PoE規格 最大電力
PoE(IEEE 802.3af) 15.4W
PoE+(IEEE 802.3at) 30W
PoE++(IEEE 802.3bt) 60W(Type 3)/ 100W(Type 4)

6.2. TSN(Time-Sensitive Networking)

TSN(Time-Sensitive Networking)は、リアルタイム通信を可能にするEthernet技術 です。

用途

  • 工場の制御システム(産業用Ethernet
  • 自動運転システム
  • オーディオ・映像の低遅延伝送

7. Ethernetの未来

Ethernetは、今後もさらなる高速化と低遅延化が進む と予想されます。

7.1. 進化の方向性

1.6Tbps Ethernet(次世代高速通信の開発)
光ファイバー技術との統合(データセンター向け超高速通信)
低遅延・高信頼性を実現するTSNの普及(自動運転・工場IoT向け)


8. まとめ

Ethernetは、長年にわたって有線通信の標準規格 として進化を続けてきました。

ポイント 内容
基本原理 IEEE 802.3規格に基づいたパケット通信
通信方式 フレーム構造、MACアドレスを利用
規格の進化 10Mbps → 100Gbps 以上へ
最新技術 PoE(電力供給)、TSN(リアルタイム通信)
未来の展望 1.6Tbps Ethernet、超低遅延通信

今後も、Ethernetはデータセンターや産業IoT、5G・6Gのバックボーン技術として、ますます重要性を増していくでしょう。

参考文献