MVPとプロトタイプの違いとは?
〜プロダクト開発における2つのアプローチを整理する〜
1. はじめに
スタートアップや新規事業開発でよく聞く言葉に MVP(Minimum Viable Product) と プロトタイプ(Prototype) があります。
どちらも「完成品ではない試作」の意味を持ちますが、目的と使い方は大きく異なるため混同されがちです。
この記事では、MVPとプロトタイプの違いを整理し、どの段階でどちらを使うべきかを解説します。
2. プロトタイプ(Prototype)とは?
✅ 定義
- プロダクトや機能の試作モデル
- 実際に動作することもあるが、最終的に使われることを目的としない
✅ 目的
✅ 例
- Figmaで作った画面遷移デモ
- ダミーデータで動くUIモック
- 紙に描いた画面スケッチ
✅ キーワード
「動くモック」「理解と説明のための模型」
3. MVP(Minimum Viable Product)とは?
✅ 定義
- 最小限の実用的製品
- 限られた機能しか持たないが、ユーザーに実際に価値を提供できる
✅ 目的
- 市場での検証
- ユーザー行動データの収集
- ビジネス仮説のテスト
✅ 例
✅ キーワード
「実際に使える」「市場テスト用の最小製品」
4. MVPとプロトタイプの比較
| 項目 | プロトタイプ | MVP |
|---|---|---|
| 目的 | アイデアの検証・体験確認 | 市場検証・ユーザー行動の把握 |
| 完成度 | 動くかどうか/見た目の確認 | 限られたが実用的でユーザーが使える |
| ユーザー利用 | 原則は実利用しない | 実際にユーザーに利用してもらう |
| 成果 | ステークホルダーの理解、方向性の共有 | 行動データ、フィードバック、成長仮説の検証 |
| 廃棄可能性 | 捨てる前提が多い | 改善して育てていく前提 |
5. どちらを使うべきか?
新しいアイデアを素早く形にして理解を揃えたい → プロトタイプ
→ デザインや体験を確認する段階市場で本当に受け入れられるかを試したい → MVP
→ 初期ユーザーに触ってもらいデータを得る段階
開発フェーズに置き換えると:
アイデア発想 → プロトタイプ → MVP → 本開発 → 成長・拡大
6. 誤解しやすい点
- MVPを「小さいプロトタイプ」と思っているケース
→ 実際には「市場テスト用の本物」である点が大きな違い。 - プロトタイプを「β版」と混同するケース
→ β版はMVPの発展形で、ユーザーに実際に配布する段階。
7. まとめ
- プロトタイプは「動く模型」→ アイデア・UI体験を検証するためのツール
- MVPは「最小限の実用製品」→ 市場に出してビジネス仮説を検証するためのツール
- どちらも「完成品」ではないが、目的と対象が異なる。
👉 「理解のための試作=プロトタイプ」
👉 「市場検証のための試作=MVP」
📚 参考リンク
- Eric Ries『リーン・スタートアップ』
- Dropbox初期のMVP事例(TechCrunch)
- Prototyping vs MVP(Product School解説)