スマートグラス比較 2025
― ディスプレイ型・AIカメラ型・オーディオグラス型を用途で選ぶ
1. スマートグラスの今
スマートグラスという言葉から連想するものは、人によってだいぶ違うと思う。
- 目の前に巨大な画面が浮かぶ「ARディスプレイ」
- 常にAIアシスタントとカメラを連れて歩く「AIメガネ」
- メガネにスピーカーが埋め込まれた「オーディオグラス」
2025年時点では、このあたりが主な勢力だ。
「なんでもできる万能メガネ」というより、用途別にかなり割り切られたガジェットが並んでいるイメージに近い。
この記事では、
- ARディスプレイ型:XREAL Air 2 / XREAL One / Rokid Max 2
- AIカメラ型:Ray-Ban Meta
- オーディオグラス型:Echo Frames / Bose Frames Tempo / Soundcore Frames Landmark
を中心に、それぞれ「何が得意で、どんな人向けなのか」を整理していく。
2. まずはタイプを決める:3つのカテゴリ
スペック表を眺める前に、スマートグラスをざっくり3分類してしまう方が話が早い。
2-1. ディスプレイ型(ARビューア)
- 両目の前に小型ディスプレイがあり、仮想スクリーンを表示するタイプ
- PC・ゲーム機・スマホをつないで「頭に乗せる外部モニタ」として使う
- 代表例:XREAL Air 2 / XREAL One / Rokid Max 2
「視力に優しい超軽量モバイルモニタ」と言い換えてもいいくらいで、
映画・ゲーム・開発作業など、“見る”ことに全振りしている。
2-2. AIカメラ型
見た目はほぼ普通のメガネやサングラスだが、中身は「AI付きライフログカメラ」に近い。
2-3. オーディオグラス型
- テンプル部分に小型スピーカーとマイクを搭載
- 耳をふさがずに音楽・通話・音声アシスタントが使える
- 代表例:Echo Frames(第3世代) / Bose Frames Tempo / Soundcore Frames Landmark
「イヤホン兼スマートスピーカーをメガネにしたもの」と考えると分かりやすい。
3. ディスプレイ型スマートグラス比較
― XREAL Air 2 / XREAL One / Rokid Max 2
まずはエンジニアやゲーマーが気になる、モバイル外部ディスプレイとしての3機種から。
3-1. XREAL Air 2:バランス型の定番モバイルモニタ
XREAL Air 2 は、「とりあえず1本持つならこれでいい」と言いたくなるバランス型。
主な仕様はこんな感じ。
- 解像度:片目あたり 1920×1080(フルHD)
- リフレッシュレート:最大 120Hz
- 最大輝度:約 500nit
- 視野角:46°
- 重量:約 72〜79g(構成による)
- 接続:USB-C (DisplayPort Alt) / HDMI(アダプタ経由)など
ノートPC、ゲーム機(Steam Deck / ROG Ally / Switch)をつないでしまえば、
- 新幹線の中でデュアルディスプレイ開発
- ホテルのベッドでシアター級の映画視聴
- カフェでモニタを出さずに秘密の追加画面
といった使い方ができる。
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3-2. XREAL One:Airの上に“空間”を足したモデル
XREAL One は、Air 2 と同じ「フルHD×120Hzクラスのディスプレイ」を持ちながら、
空間側の機能がかなり盛られたモデルになっている。
おもな特徴を抜き出すと:
- 解像度:片目あたり 1920×1080(約400万画素)
- リフレッシュレート:最大 120Hz
- 視野角:50°(One Proでは57°)
- 明るさ:最大 600nit(One Proは700nit)
- 3DoFトラッキング対応(頭の向きに合わせて画面の向きが変わる)
- 自社開発の空間コンピューティングチップ「XREAL X1」搭載
- 3段階のエレクトロクロミック調光(レンズ透過率を電気的に変更)
Air 2 との違いは、「画面が自分の前に固定されているだけ」ではなく、
- 画面を空間のある位置に“貼り付ける”感覚で使える
- 頭を振ると、画面も自然に追従する・あるいは固定されて動かないようにする、などの表現ができる
という点だ。
ディスプレイ用途だけ見れば Air 2 と近いポジションだが、
XREAL Beam Pro などと組み合わせることで、軽いAR体験やXR検証環境としても使えるのが強みだ。
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3-3. Rokid Max 2:明るさと視野角で攻めるARディスプレイ
Rokid Max 2 は、スペック表を眺めると“明るさと視野角”で攻めるタイプ。
- 解像度:片目あたり 1920×1080
- 視野角:50°
- 明るさ:最大 600nit
- 仮想スクリーンサイズ:10m先に最大 360インチ相当
- リフレッシュレート:最大120Hz
- 重量:約75g
- 0〜-6Dの近視調整ダイヤルつき
最大輝度 600nit・FOV 50°という数字は、明るい室内や屋外でも有利。
さらに近視調整ダイヤルのおかげで、度付きレンズを作らなくてもピントを合わせやすいのもポイントだ。
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3-4. ディスプレイ型3機種のざっくり棲み分け
ざっくりまとめると、こんな感じのイメージになる。
XREAL Air 2
- 軽さとバランス重視の“どこでもモニタ”
- 新幹線+ノートPC+Air 2 の組み合わせが鉄板
XREAL One
Rokid Max 2
- 明るさとFOV、近視調整を重視したシアター寄りのモバイルモニタ
- ゲーム・映画・アニメ視聴メインで使うなら有力候補
4. AIカメラ型:Ray-Ban Meta で“AI付き目線カメラ”を持ち歩く
ディスプレイを持たない代わりに、カメラとAIに全振りしているのが Ray-Ban Meta 系。
4-1. 基本コンセプト
- 12MPクラスの広角カメラをフレームに内蔵
- 写真・動画をハンズフリーで撮影
- 開放型スピーカー+マイクで音楽・通話・音声応答
- Meta AI と連携し、「見えているもの+音声」で質問できる(Look and Ask)
旅行やイベントで、スマホを構えずにそのまま撮影できるのが最大の魅力だ。
4-2. どんな場面で使いやすいか
- 観光地やテーマパークで、「手を使わずに」動画・写真を撮る
- キッチンやDIY作業など、両手を使う作業の手順をそのまま記録する
- 看板・メニュー・商品ラベルなど、“視界ごとAIに聞きたい”場面で翻訳や説明をしてもらう
文章やコードを見る用途ではなく、現実世界の情報を丸ごとAIに投げたいときに強いタイプのスマートグラスだ。
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5. オーディオグラス:耳をふさがず“ながら聞き”する選択肢
最後に、ディスプレイもカメラも持たない代わりに、音に特化したスマートグラスを3つ。
5-1. Echo Frames(第3世代):Alexa前提のスマートグラス
Echo Frames は、Alexaとセットで使うことを想定したオーディオグラス。
- 開放型スピーカーで音楽・通知を再生
- マイク内蔵で「Alexa」に話しかけられる
- 第3世代では、
- 音質の改善
- バッテリー最大約6時間の音楽再生、あるいは約14時間の“中程度”使用
家のスマートホームをAlexaで固めている人にとっては、
「メガネ=家のリモコン」になってしまうのが危ない(褒め言葉)。
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5-2. Bose Frames Tempo:スポーツ寄りの高音質モデル
Bose Frames Tempo は、ランニング・サイクリング用途を意識したスポーツサングラス型。
耳をふさがないので、車や周囲の音をちゃんと聞きつつBGMを流せるのが大きい。
ロードバイクやジョギングでイヤホンを避けたい人にはちょうどいいポジションだ。
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5-3. Soundcore Frames Landmark:日本で買いやすいカジュアル派
Soundcore Frames Landmark は、Ankerのオーディオグラス。
- 再生時間:最大約5.5時間
- 急速充電:10分で約1.5時間再生
- IPX4防水
- 偏光レンズでUVを最大99%カット
- アプリ対応(イコライザ調整・タップ操作のカスタマイズ)
価格も2万円前後とこなれていて、「まずはオーディオグラスってどんな感じか試したい」というときの入門機としてちょうどいい。
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Soundcore Frames Landmark 製品ページ
6. 用途別:どのスマートグラスが向いているか
ここまで見てきたモデルを、実際のシナリオに当てはめてみる。
6-1. 出張・コワーキングで“疑似デュアルディスプレイ”したい
- 安定感重視:XREAL Air 2
- AR寄りも触っていきたい:XREAL One
Air 2 は「とりあえずUSB-C一本で画面を増やしたい」という用途に一番素直にハマる。
XREAL One は、Air 2的な使い方に加えて、X1チップや3DoFトラッキングを使った「空間固定スクリーン」も試してみたい人に良い。
6-2. 自宅ソファで映画とゲームを全力で楽しみたい
- 軽めでバランス良く:XREAL Air 2
- 明るさとFOV優先:Rokid Max 2
Rokid Max 2 は明るさ600nit・FOV50°で、照明をあまり落とさなくても画面が見やすい。
映画・アニメ・ゲーム専用シアターとして割り切るなら有力候補になる。
6-3. 旅行や街歩きで“AI付き目線カメラ”が欲しい
- 第一候補:Ray-Ban Meta
スマホを取り出さずに、
- 目線のまま写真・動画を撮る
- その場でAIに翻訳・説明してもらう
という体験は、旅行・イベントでかなり強い。
ディスプレイ用途とは役割がはっきり違うので、ディスプレイ型との二刀流も現実的だ。
6-4. 日常の通勤・家事・散歩で、耳をふさがず音楽と通知が欲しい
長時間ずっと装着しておきたいなら、
音量を上げすぎない前提での音漏れ具合と、
重量・フィット感を重視して選ぶのがポイントになる。
7. まとめ:まずは「どのタイプか」を決める
スマートグラスは、まだ「1台で全部やる」ガジェットではない。
むしろ現時点では、次のように役割がきれいに分かれている。
- 画面が欲しい → ディスプレイ型(XREAL Air 2 / XREAL One / Rokid Max 2)
- AIと一緒に外を歩きたい → AIカメラ型(Ray-Ban Meta)
- 音楽と通知が快適ならいい → オーディオグラス型(Echo / Bose / Soundcore)
なので、買う前に一度だけ、
を言語化しておくと、モデル選びで迷いにくくなる。
ARディスプレイの世界は、XREAL One や Max 2 のように徐々に“空間寄り”に進化しつつあり、
AIメガネやオーディオグラスも、少しずつ普通のメガネに溶け込むデザインになってきている。
スマホの次のインターフェース候補として、
どこかのタイミングで一度は触ってみる価値があるジャンルだと思う。
8. 参考リンク(8本)
XREAL Air 2 公式ストア(日本)
XREAL Air 2XREAL One 商品ページ(Amazon)
XREAL One AR グラスRokid Max 2 公式製品ページ
Rokid Max 2 AR グラスRay-Ban Meta Gen 2 公式ページ(Meta)
Ray-Ban Meta Wayfarer Gen 2Echo Frames 第3世代 商品ページ(Amazon US)
Echo Frames (3rd Gen)Bose Frames Tempo 公式ページ
Bose Frames TempoSoundcore Frames Landmark(Anker Japan公式)
Soundcore Frames Landmarkスマートグラス総まとめ記事(英語 / TechRadar)
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